星状神経節ブロックについて

肩こりや頭痛、頸部の絞扼感などの症状に時に大きな効果を発揮する星状神経節ブロックについてご紹介します。

星状神経節というのは首のところにある交感神経が集まっている場所です。一か所からいくつも神経が伸びているので星のような形状をしています。

ペインクリニックで神経ブロックをするときには、基本的に痛みを伝える神経を狙って、その近くに局所麻酔薬を注入します。そうすることで一時的に痛みが伝わるのを止めてしまおうという考え方です。

しかし、星状神経節に集まっている神経は交感神経です。これは自律神経のひとつで、自律神経は交感神経と副交感神経のバランスで成り立っています。

大まかに言って、交感神経は緊張、副交感神経はリラックスの状態と考えてください。自律神経は名前の通り、自動でその場面に合わせて勝手にいいバランスに調整してくれています。

ところが、仕事のストレスや寝不足、体調不良、精神的な問題などでそのバランスの自動調節機能がうまく働かなくなることがあります。そしてそのほとんどの場合は、過緊張といって交感神経が働きすぎになっています。

よく疲れているときなどに身体の力を抜きましょうとか、リラックスしましょうとかいいますが、過緊張になってしまっている自律神経を自力で戻すのはなかなか難しいと思います。

そんな時にこの星状神経節ブロックが非常に効果を発揮します。確かに気持ちがリラックスすると交感神経は落ち着くのですが、なかなか難しい、そんな時は先に交感神経の方に落ち着いてもらって、そうしたら気持ちも落ち着くという考え方です。

交感神経優位の過緊張の状態が続くと、血管が収縮して血流が悪くなり、肩こりや首の痛み、頭痛、首が締め付けられるような感じなど様々な症状が現れてきます。

星状神経節ブロックを行うと、副交感神経が優位になり、血管が開いて血流が良くなり、症状が改善します。

ブロックで使用する薬は局所麻酔薬で、効果時間は数時間ですが、神経節の周囲に広げているので徐々に吸収されることにより、だいたい2~3日程度以上は効果が持続します。その後どの程度効果が続くかは患者さんの状態にもよります。保険適応の範囲では、最大で週に1度程度打つことが出来ます。

過緊張状態をお薬で程よく戻すのはなかなか難しいなかで、この神経ブロックは患者さんから非常に喜ばれます。

首に針を刺すので少々痛みと緊張は伴いますが、当院ではエコーを使用してその都度お声がけしながら行いますので、不安なことがあればいつでもおっしゃってください。

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