うつ病に対するケタミン療法
ケタミンは1962年にアメリカで合成されて以降、麻酔薬として広く使われてきました。一般的に麻酔薬は呼吸が止まりやすいこと(呼吸抑制)と血圧が下がりすぎること(循環抑制)が問題になることが多く、麻酔科医以外が使用すると非常に危険です。
しかし、ケタミンは例外的に呼吸抑制が少なく、血圧も下がりにくいため、小児の処置の時にも使用されるなど、重宝されてきた歴史があります。また、鎮静効果だけでなく、鎮痛効果もある珍しい麻酔薬です。
そんなケタミンですが、実は抗うつ作用があることも分かっています。保険適応はありませんが、いくつもの論文が出されていますし、国内での臨床試験も始まっています。海外では自由診療としてうつ病の治療目的に使用されています。
では、既存のうつ病の治療との違いはどこにあるのでしょうか。自由診療を使ってまで行うメリットがあるのでしょうか。
ケタミン療法のメリットは3つあります。

1つ目は即効性です。治療はケタミンの静注を点滴で行いますが、数時間で効果が表れます。一方で、効果の持続性に関しては高くないので、週に2回程度の頻度で6回行う方法がよく用いられています。
2つ目は難治性のうつ病に対する効果です。現在抗うつ薬は非常に進歩しており、臨床的な体感としても抗うつ薬で治療がうまくいく例はとても多いです。それでも治療に難渋する例や、長年治療をしても回復できない例もあります。そういったときに、内服薬が効かなくてもケタミンなら抗うつ作用を示す例があります。必ず治るというものではありませんが、保険適応の治療で効果が見られない場合には、非常に有効な手段となりえます。
3つ目は、内服による治療に抵抗感がある場合の選択肢となることです。保険適応外の使用であり、自由診療ですが、抗うつ薬の内服に心理的な抵抗が大きい場合などには治療の選択肢となりうるのではないでしょうか。
決して、保険適応の現在の標準治療を上回る治療というわけではありません。ただ、これまでの治療とは違った方向性をもたらしてくれるものとして、選択肢になりうるものだと思います。日本ではほとんど行われていない治療ですが、麻酔科と精神科の両方に携わっている当院だからこそ提供できるものでもあります。
四国外からこの治療に通われた方もいらっしゃいます。関心のある方は、ご相談ください。
ケタミン療法 1回44,000円(税込み)
標準治療回数 週2回、合計6回
