
近年、摂食障害に関する国の対策も行われるようになり、インターネットにも多くの情報が掲載されていますが、個々のケースに当てはまるような納得のいく原因を見つけることは難しいのではないかと思います。
「なぜ吐いてしまうのか」「何が苦しいのか」「何をしてほしいのか」といった、自分でも理解できないような感情に対する答えが得られず、孤独や絶望を感じてはいませんか。
当院では、まず患者さんが自分でもわからないような「気持ち」を「言葉」にするところから治療を始めます。自分自身のことを理解でき、ほかの誰かに自分のことを理解してもらえることは、こころの安定に繋がります。大切なこころとからだの状態に向き合い、医師と患者さんの二人三脚で症状の改善を目指していきましょう。

このようなお悩みは
ありませんか?
- 食事をほとんど摂らず、体重が極端に減少している
- 社会的な食事場面を避け、孤立している
- 食事を摂った後に自己誘発嘔吐を繰り返している
- 食べ物を隠して食べたり、食事量を偽っている
- 食べることに対して強い恐怖心や不安感を抱いている
- 食べることを拒否し、家族や友人関係が悪化している
- 短期間で大量の食事を摂り、強い後悔や罪悪感を感じる
- 体重や体型に強い執着があり、過度な運動を行っている
- 食べ物やカロリー計算に過度にこだわっている
- 食べることが原因で気分の浮き沈みが激しい
摂食障害の原因
摂食障害の原因は、心の傷にあると考えています。それは自己肯定感の欠如とも言い換えられるかもしれません。自己肯定感は、小学校入学前後の時期に決まるのではないかと私は思っています。それは、人生の根本的な部分に関わるもので、生まれてきたことに対する肯定感です。テストで100点を取ることや、何かで表彰されること、スポーツで優勝することなど、外的な評価に基づく肯定感とは異なります。もし、この根本的な自己肯定感が欠けていると「自分が生まれてきた意味は何か」「自分には価値がない」「消えてしまいたい」といった思いが生まれることがあります。
では、なぜ自己肯定感が欠けてしまうのでしょうか。これが摂食障害の本質的な部分です。自己肯定感が欠けた理由を、その人それぞれの事情や心の状態に基づいて、深く掘り下げていくことが重要です。そして、その人の気持ちや状況をしっかり整理していくことが、治療に繋がるのです。
摂食障害の
治療方法
摂食障害の原因として、心の傷、つまり自己肯定感の欠如が大きな要因です。いつ、どんな理由で自己肯定感が欠けてしまったのかを探り、整理をしていくことが治療の第一歩になります。そのため、治療は主に面談を通じた精神療法で行います。
もし、うつ病などの他の病気が併発している場合は、薬物治療も併せて行うことがありますが、摂食障害自体は薬で治るものではありません。
摂食障害の治療過程について
1心の傷を探る段階
摂食障害の原因ともいえる心の傷、それは自己肯定感の欠如とも言い換えられますが、どうしてそうなったのかについて深い理解が回復のスタートラインになります。
ほとんどの場合、幼少期の環境に何かしらの問題点を見つけられますが、中にはわかりにくい場合や大きな問題点がない場合もあります。
摂食障害の症状が出ている時点で、背景として自己肯定感の欠如やアイデンティティーの脆弱性が見られますが、それがそもそも作られてこなかったのか、それとも何かのきっかけで崩壊してしまったのかは、一人ひとりに合わせて丁寧に紐解いていく必要があります。この過程には2~4回ほどかかります。
2心の傷を癒やす段階
心の傷を見つける過程だけでも、おそらく人生で初めて自分と向き合ってもらう経験となり、深い理解を得られたと感じるのではないでしょうか。
それ自体が癒やしとなり、さらに心の傷の背景として自分以外のもの、例えば親や兄弟、友人など関わりのある人への理解や、環境として学校や社会などの仕組みや、歴史など自分と自分を取り巻くものへの理解などを通して、自分の心の傷を理解して癒していきます。
とても深い位置での共感を得ることで、自分でも認識できなかった本来の自分の気持ちを癒していきます。この過程に2~4回ほどかかります。
3自分の気持ちを探す段階(期待値を取り戻す)
ここまでの段階で、自分でも気が付いていなかったり、言葉にできなかった自分の心の傷を言葉にしてもらって、共感してもらって、新しい発見があると思います。
その経験をさらに「自分の気持ちを出していいんだ、理解してもらえるし共感してもらえるんだ、期待していいんだ」という気持ちに引き上げていくことが回復のためには必要です。
心の傷が原因でアイデンティティーが形成不全か崩壊を起こしているので、土台を固めた後で自分自身の気持ちを見つけてアイデンティティーとして再構築していくのです。
人は可能性の低いことに対してはモチベーションを持つことはできません。ここまでの段階で理解し共感される経験をすることで、人に理解してもらえるという期待値を取り戻してはじめて、自分の気持ちを出していくことができるのです。この過程は非常に個人差があります。
4自分の気持ちを補強していく段階
仕上げの段階です。アイデンティティーができあがり始めても何度も壁にぶつかるのが当然です。そこでの悩みや頑張り、工夫を支えていきます。ここまでの段階で作り上げた信頼関係を支えにして、ある程度の社会的な活動ができていると、この段階が有効に進む傾向にあります。
アイデンティティーや自我というものは変化し成長し続けていくものです。ある意味この段階に終わりはありませんが、治療としてのこの段階の区切りの目安は、摂食障害から治る勇気を持てることです。
摂食障害というある種の自分のアイデンティティーとなり、自分を支えてくれていたものを捨てて、自分自身の気持ちや自我を支えとして、新しいアイデンティティーにして生きていこうと思えるようになれば最後の段階に進めます。
5最後に依存を断ち切る勇気を持つ段階
ここまでの段階で準備は完了しています。それでも最後に「治る」ということは、とても勇気のいることです。
前の段階でも触れましたが、「治る」ということは、これまで自分を苦しめてもきたけれど、支えてもくれていた症状を手放すということであり、そこに抵抗を感じるのは当たり前のことです。それでも勇気をもって治ることで、人生が変わります。というよりも治ったところから人生が始まるのです。
摂食障害で苦しんでいる方によく聞かれることがあります。
「摂食障害が治るというのはどういう状態のことですか?」
「どうなったら治ったことになりますか?」と。
症状自体は食べ物のことであり、普通に食べられること、こだわりがなくなることなど、症状が消えていることは当たり前のことですが、当院の治療では、ここまで述べてきたように食べ物のことはほとんど扱いません。
当院の考えでは、「自分を取り戻すことが、摂食障害が治るということ」です。
このような治り方を希望する方は是非当院での治療をご検討ください。
自費診療の費用
について(税込)
医師との面談(摂食障害) | 30分 ¥22,000 |
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※初診は保険適用です。